九条界郎『長野県の現代妖怪と闇 第一章 妖怪・足裏舐め小僧』
皆様、こんにちは。今年も残り一ヶ月。大気もすっかり冬の寒さを帯びてきましたね。
このブログを見ている皆様は、勿論甚平を着ていると思いますので、風邪を引かないようにしてくださいね。
だが、覚えとけ。
真の甚平着太郎は、
寒さを感じない。
さて、この度、切取図書館では年末前の大掃除を行いました。
大掃除と言っても、ただ箒を掃いて、棚を布で拭く、などと言った単純作業ではなく、
館内開架や書庫所蔵の蔵書を点検する、などといったことも図書館でのお仕事です。
さて、問題はここからです。
それは、私が書庫の蔵書を掘り出していた時のこと。
背ラベルの請求記号も所蔵番号も無く、目録さえも無い図書が一冊出てきたのです。
その本について、インターネットで検索をすると、その情報だけは発見出来ました。
ところが、その本は数十年前に無名の出版社から出版された本であり、刷られた数も極めて少なく、あの国立国会図書館ですら未だ所蔵されていないというのです。
今回は、その本に書かれていたことを記事にしたいと思います。
先程から言っている、その本というのがこちら…
書籍名『長野の現代妖怪と闇 第一章 妖怪・足裏舐め小僧』
著作者:九条界郎(クジョウ カイロウ)
出版社:甚平書房
見た目は和紙で作られたようなカバーですね。
綴じ方も糊付けという、至って簡素なもの。
内容については、長野県の民間伝承についてまとめた本のようです。
第一章ということは、これ以外にも続きがあるようですね。
作者は意外にも、あの九条界郎。
特け有名というわけでもないですが、いくつか本を出している人です。
切取図書館にも何冊か所蔵してあります。
誰それ?という方にも、一応説明。
九条 界郎(くじょう かいろう、1919年 - 1982年)は、長野県出身の民俗学者。主に、民間信仰から伝わる妖怪の研究をしていた。
そう、九条氏とは昭和の民俗学者。私も学生時代に民俗学をほんのひと齧りだけ学びました。
つまり、この本に書かれているのは、「足裏舐め小僧」と呼ばれる妖怪のことについて。
一体、どのような記述があるのか…
多少、古い言葉遣いをされているので、簡単に現代語訳し、割愛しながら見ていきましょう。
「前章
長野県は古来より、その閉鎖的環境の中から、いくつもの民間伝承による、妖怪の噂が発生していった。
山彦や薬缶吊るといった、有名どころの妖怪は皆も知っているだろう。
本著では、そう言ったものではなく、長野県のさらに奥深くに伝わる妖怪について解説をしていく。」
長野県には、妖怪の伝承が色濃く残っているそうです。
私も福岡県出身ですが、白馬村にはガシャドクロがいるという事をよく知っています。
その中でも、この本で紹介されるのが、その妖怪・足裏舐め小僧だそうです。
では、その妖怪とは一体どんなものか?
「足裏舐め小僧(足舐め小僧、アシナメ)とは、長野県に伝わる妖怪の一種である。
外見は、絹の如く金色の髪を持った、小柄で可憐なる女児のようである。ところが、小僧という名が示す通り、彼奴は男の童として認識されているようである。
彼奴は、二輪の朧車に乗っていると伝わる場合もあるが、明治初頭に西洋から「自輪車(自転車)」なる物が輸入されて以降、自輪車に跨り現れると言われている。」
自転車に乗って現れる…どちらかと言えば、現代寄りな妖怪、というより都市伝説の幽霊みたいなものですね。
(イメージ図)
ただ、昔は朧車に乗っていたそうなので、これも時代の変化によるものなのでしょうか。
「彼奴は、深夜になると、その自輪車で村や町を徘徊する。
その様から、一部の地域では「かいろう(怪浪、怪廊)」「かいろろ(怪路々、街路々)」と呼ばれることもある。」
「その習性は、極めて残忍である。名の示す通り、彼奴は人間の足の裏を舐め回す。
それも、男性の足裏は舐めず、女性の足裏だけだという。」
足裏舐め小僧…まさしく、足裏を舐める小僧と言うことですね。
しかし、残忍というのは言い過ぎだと思いますが…。
と、考えていた私は、次の文章を読み、戦慄を覚えたのである。
「足裏舐め小僧は、深夜の街道を、通常の人間が漕ぐ速さと変わらないスピードで、自輪車で徘徊している。
ところが、うら若き女性を見付けると一変、時速60kmの速さで女性を追いかける。
追い付くと、女性の脚をその長い舌で引っ掛け転ばす。倒れ込んだ女の履物を脱がし、足の裏を舐め回すのだ。
この舐め回すという行為には、生気を吸い取る能力もあり、その足はまるで溶かされたよう。
足を溶かされ、弱った女を最終的には
山奥へ連れ去る。
そして、その絹の如き髪で女を縛り、死ぬまで足裏奴隷とするのだ。
あとなんかたまに「アシデフンデクダサイ」っていう呪詛も吐くらしい。
しかし、その女が醜女であるならばより最悪である。
捕らえた女が醜女と分かるや否や、彼奴はその女の脚を鎌で刈り取ってしまうのだ!
その際に、この世の者とは思えぬ悪辣な罵詈雑言を浴びせ、女は精神を削られ、やがて失血死でこの世を去るのだ。」
な、なんということでしょう…
綺麗な女ならば、死ぬまで足裏を舐め回され、
ブスは悪口を言われながら足を刈り取られる…
こんなもん、捕まったらアウトじゃないですか…。
一応、本の続きを見ましたが、対策として、
「足裏舐め小僧は酒豪なので、夜道を歩いていた時に、酒の匂いがしたらすぐさま民家に隠れろ」
と書いてありました…。
でも無理じゃないですか?
だって、酒の匂いだったら普通の人間でも匂いますし…
ねえ、回廊さん?
回廊さん?
回廊さ…
…
ク…チジャ…ナ…クテ…
ア シ ヲ ツ カ エ ヨ
12月1日は『きんいろモザイク』九条カレンの誕生日ですね。おめでとうございました。