切取図書館

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朗読会『龍潭寺ポッチャーの逆鱗』

 

プロローグ

 

時は30XX年、恵の星地球は、謎の生命体リョータンジによって制圧されていた。

リョータンジはゴミダヌキ星という惑星からやってきた、ゴミダヌキ産のゴミ狸であった。ゴミダヌキ星は飢饉によって苦しんでいた。朝はダンヒル一本、昼はエメマン、夜はUCCだけという生活を毎日送っているのだ。そんな過酷な環境の中で、リョータンジは一人、また一人と、生命活動を切らせていた。

ある日、リョータンジの天文学者が地球と小惑星いとはるを発見した。これに目を付けたリョータンジの覇王・龍潭寺ポッチャーは、リョータンジのまん毛で作った宇宙艦に、全リョータンジを詰め込み、地球へと旅立った。

地球に降り立ったリョータンジ達は、手始めに日本を"土木作業"した。土木作業は、リョータンジ達に伝わる征服術である。大地を返し、アスファルトを敷き詰め、ダンヒルを巻く事で、地球上の生物を根絶やしにしていくのだ。

地球は瞬く間に侵略され、人類はリョータンジの奴隷になってしまった。各国大統領は性奴にされた。



第一章『愛に彷徨う狸』

 

コンクリートの柱や剥き出しの鉄骨が不規則な踊りを見せていた。空からはスポットライトが照らされ、重低音が鳴り響く。ここがクラブハウスならどんなに良かったことだろう。いっそ踊り狂い、過剰に分泌されたアドレナリンの中で溺れ死んでいきたいものであった。しかし、残念な事に、ここは真昼の空の下。さらに言えば、摂氏四十度に並ぶ程の猛暑日アスファルトの上の、鉄に囲まれた屋外。熱に体力を奪われ、踊る暇も無い。あるのは資材を運ぶ作業のみ。水筒の冷水は、とうの昔に熱湯になっていた。水筒に貼られた、青い狸のステッカーが、こちらを嘲笑っている。ように見えた。炎天下の中、私が暑さから逃げようとしないのは、この青狸のせいである。

地球がリョータンジに侵略されて数年、地球全土は「ハママーツ」という一つの国として、覇王・龍潭寺ポッチャーにより統治される事となった。覇王として就任した龍潭寺は我々人類に対し、次の様な事を述べた。

「ん、生理きた。オマエラ人類に告ぐ。この龍潭寺様の為に施設を建てろ。好きな時に缶コーヒーが飲める巨大喫茶店、いつでもセックスできるラブホテル、競馬場、パチンコ店、雀荘。そして、寺。その他、リョータンジ達が安心して過ごせる住居を作れ。逆らう者達は容赦なく、殺す。あと、愛して!!!!!!!」

青狸の言葉など、誰一人として耳を傾ける事はなく、一人の中年男性の抗議を皮切りに、その場にいた全ての人間が龍潭寺に対し、「ゴミ」「カス」「ひまわり学級の帝王」「性欲魔獣セクシャルビースト」などの罵声を浴びせた。龍潭寺は泣いていた。泣きながら、初めに抗議を行った中年男性の額を、ダンヒルで貫いていた。

 

 

 

飽きた。

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